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北海道はどうして全戸停電に?ブラックアウトまでの18分・復旧長期化理由・ほくでん再発防止策

2018年9月6日AM3:07に発生した北海道胆振東部地震で、どうして北海道全戸停電になったのか?

北海道札幌市在住の私としては、やはり記録に残しておくべきと思い、北海道新聞を参考にまとめていきます。

幸いにも我が家は、地震発生から約13時間後に停電が復旧しました。

しかし、あなたもこんなことを思いませんでしたか?

[box01 title=”多くの方の疑問”]
  • どうしてひとつの発電所が停止しただけで北海道全戸停電になるのか?
  • 停電復旧に約13時間~40時間以上もかかったのか?
  • 北海道電力の安全対策・再発防止策はどうなっているのか?
[/box01]

これらのことを詳しくまとめていきます。

【最大の理由】北海道胆振東部地震による北海道全戸停電

北海道胆振東部地震による北海道全戸停電の最大の理由は、

北海道の電力供給の半分を苫東厚真火力発電所に集中させていたこと

要するに、北海道電力のバックアップ手段が万全ではなかったのです。

全ては、泊原子力発電所の再稼働が思うようにいかないことが原因では?と推測されています。

「泊原発再稼働が見通せず、新電力との競争が激化する中で、北電がリスクの回避よりも経済性を優先した結果ではないか」

泊原発が運転していた2012年5月以前は、バックアップが火力発電所で万全でしたが、泊原発停止後のバックアップは万全を期していなかった・・

と言う結果に。

経営的に仕方なかった・・で済まされるのでしょうか・・

【どうして北海道全戸停電?】原因は苫東厚真火力発電所の一極集中

北海道の半分の電気を作っていたのが、苫東厚真火力発電所なのです。

地震発生時の需要電力量が310万キロワットに対して、苫東厚真火力発電所の合計出力が165万キロワット。

地震によって、苫東厚真火力発電所が停止されると、使う量とのバランスが崩れてしまったことが原因。

北海道新聞では、自転車のこぎ手を例にして説明してました。

苫東厚真の停止は、一番頼りにしていたこぎ手を失ったのと同じだ。

他のこぎ手が必死にこいだが、こぎ過ぎて倒れる(壊れる)寸前になり、自転車から全員飛び降りてしまったようなものだ。

【ブラックアウトまでの18分間】地震発生後苫東厚真火力発電所では何が起きていた?

9月6日午前3時7分

最大震度7の地震が厚真町を襲う。

9月6日午前3時8分

苫東厚真火力発電所全3基中の2号機と4号機が停止。

2号機:60万キロワット
4号機:70万キロワット

停止原因は、高温水蒸気を運ぶ細長いボイラーが縦揺れに耐えきれず損傷したこと。

この時、自動的に二つの作業が行われました。

負荷遮断(一つ目)

停止した130万キロワットに見合うだけの需要を一時的に切り離されました。

つまり、停電させたということです。

道東・道北地域、函館などが停電しました。

私の住む札幌市など道央地域のみ電気が点く状態に。

9月6日午前3時11分 北本連系線フル稼働(二つ目)

北本連系線は、北海道と本州を結ぶ送電線。

北海道か本州どちらかの地域で需給バランスが崩れると、自動的に電気が送られる仕組みになっているのです。

最大量の60万キロワットが本州から北海道に向けて送られました。

この北本連系線フル稼働によって、電力の需給バランスがなんとか保っていたのです。

9月6日午前3時15分~17分

一旦停電となった釧路エリアで電気が戻りました。

9月6日午前3時25分

頼みの綱だった苫東厚真火力発電所1号機(35万キロワット)が自動停止。

ボイラー管損傷ダメージが大きくなり、2号機・4号機停止による電力周波数低下にも耐えきれなくなったのです。

この結果、北海道内で稼働していた他の発電所が連鎖的に停止。

受け入れ先がなくなった北本連系線の送電も不能。

私の住む札幌市や道央エリアも停電に。

北海道ブラックアウトです・・

9月6日午前3時28分

北海道ブラックアウト後3分間だけ、倶知安町・岩内町だけ送電されていました。

なぜなら、泊原子力発電所と同じ送電線だったからです。

北電は、泊原子力発電所の冷却を維持するために、あらゆる手段で電力供給を維持しようとしていたのではないか?

と北海道新聞は報道してました。

しかし、努力もむなしく午前3時28分、冷却用非常用電源を作動させたのです。

これが、北海道全戸停電の始まりでした。

【どうして復旧遅れた?】全電源ゼロの恐怖

停電復旧し始めたのが、地震発生から約13時間後。

北海道全域がほぼ停電復旧したのは、9月8日の朝です。

約50時間もかかったのです・・

理由は、全ての電源を失ってしまったので、苫東厚真火力発電所以外の火力発電所を動かすための電力もなかったからです。

ヒーーーー!

そこで、北海道電力は停電でも動かせれる水力発電所を動かします。

ちなみに、停電時でも動かせれる水力発電所は、

  • 高見(新ひだか町)
  • 東の沢(新ひだか町)
  • 春別(新ひだか町)
  • 雨竜(幌加内町)
  • 金山(南富良野町)

5カ所で発電した電力をなんとか、砂川火力発電所の再稼働に回したのです。

9月6日13時35分、砂川火力発電所稼働。

この後、順次、知内・奈井江・音別火力発電所、森地熱発電所、水力発電所を稼働させていきました。

北本連系線も受け入れ態勢が整うと送電開始されました。

他にも、北ガスが10月の正式稼働に向けて試運転していた液化天然ガス火力発電所(7万8千キロワット)や製紙・製鉄会社の火力発電所からも送電。

その結果、353万キロワットの供給力を確保できました。

しかし、現在運転している北電の火力発電所は、老朽化しているという実情。

まさに、綱渡りの状態。

北海道は、9月13日現在、20%節電目標で頑張っています。

【真冬の電力量は大丈夫?】苫東厚真火力発電所の全面復旧は11月以降に

地震発生直後に発表されていた苫東厚真火力発電所の復旧時期は約1週間。

しかし、調査を進めていく中、全面復旧は11月以降にずれ込む見通しと発表されました。

北海道は、10月から1月にかけて電力需要がどんどん増えていきます。

真冬の停電だけは避けたい・・

大丈夫なのでしょうか!?

昨年(2017年)の北海道電力需要実績と今後追加される供給電力量をまとめてみました。

昨年の電力
需要実績
追加される電力 供給電力
合計
9月:
383万kw
9月12日
現在
353万kw
9/13・14 京極水力
1号・2号
40万kw 393万kw
9月18日 苫東厚真
1号
35万kw 428万kw
9月下旬 苫東厚真
2号
60万kw 488万kw
10月:
423万kw
10月27日 知内2号 35万kw 523万kw
10月31日 苫小牧1号 25万kw 548万kw
11月:
467万kw
11月以降 苫東厚真
4号
70万kw 618万kw
12月:
512万kw
618万kw
1月:
525万kw
(ピーク)
618万kw
2月:
519万kw
2月正式
運転予定
液化天然ガス
石狩新港1号
57万kw 675万kw

【2018年9月18日追記修正】

  • 苫東厚真1号機:2018年9月18日再稼働
  • 苫東厚真2号機:2018年9月下旬再稼働の見通し

というように早期回復となったので修正しています。

現場作業員の方々の努力に感謝しかありません!

数値だけ見れば余裕あるように見えますが、現在運転している火力発電所の故障の可能性が非常に高いです。

実際、9月11日午後に完成から40年経過している音別火力発電所2号機(7万4千kw)が故障し停止しましたし・・

現在、北海道電力(グループ会社含む)の火力発電設備(10万kW以上)は13機あります。

そのうち、2019年までに運転年数が40年を超えるのが6機。

6機合計供給出力は、132.5万kwです。

運転年数が30年を超えるのが11機。

【北海道全戸停電再発防止策は?】

北海道電力は、何もかも想定外だったと・・

しかし、北海道の電力供給およそ半分を苫東厚真1ヵ所に集中させていたことが大問題です。

電源分散するほかありません。

[box02 title=”北海道電力の電源分散策を推測”]
  • 液化天然ガス(LNG)火力発電所の運転開始:1号機(57万kw)10月試運転開始
  • 北本連系線増強:2018年度末に30万kw増強で合計90万kwに
  • 泊原子力発電所再稼働が本命で今までと変わらず!?
[/box02]

北海道新聞では、北電のLNG火発導入の遅さを指摘しています。

石狩湾新港液化天然ガス(LNG)火力発電所は、2015年着工で1号機(57万kw)が10月試運転開始で2019年2月正式運転予定。

2号機(57万kw)は、2023年3月着工予定で2026年12月運転予定。

3号機(57万kw)は、2027年3月着工予定で2030年12月運転予定。

約171万kwの供給力が確保できるのは、今から12年後です。

北海道電力は泊発電所の再稼働に経営資源を配分してきた為に石狩湾新港発電所への投資が遅れており、今回のブラックアウトは投資判断の誤りの結果と考えることも出来ます

日本では、北海道電力以外の大手電力会社は、既にLNG火発を稼働済みなのです。

泊原発が再稼働していれば大規模停電も防げた?

北電が躍起になっている泊原発が動いていたら・・

もしくは、再稼働させれば一発解決なのでは?などということも言われております。

北海道新聞に書かれていたことを引用します。

原発は事故時の被害が甚大で、安全対策のコストも高い。

原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分地が決まっていない問題もある。

こうした点を指摘した上で大島教授は「電力事故には、航空機事故のときのような調査機関がないのが問題だ。今回を機に、何らかの規制を勧告できる独立組織を国が新設すべきだ」と提案している。

原子力発電所に関しては、知識がある方の様々な意見があるようです。

何が正しくて、何が間違っているのかは、正直、災害が起きてみなければわからないことがほとんど。

未来を担う子どもたちが困らない政策を選択してほしいと私は思います。

分散型の電力システムを取り入れる方向を拡大

現時点では、大規模集中型の電力システムがメインの考え方になってます。

その中での改善点を洗い出して見直すことがまず第一でしょう。

それでも必ず不足部分もあることは間違いないので、太陽光発電などの分散電源を今まで以上に積極的に取り入れることが必要。

近年、再生可能エネルギーの普及拡大は凄まじい勢いで進んでいる。

配電網内に設置した分散電源を融通しながら利用する系統技術も開発が進んできた。

例えば、大規模な発電所が脱落して送電ができなくなった時に、すべてを停電させるのではなく、分散電源を備えた配電網を一時的に送電網から切り離せば、完全な停電にならずに済む。

今後、太陽光発電などの再エネ分散電源がポイントとなってくることが予測できますね。

新電力会社「Looop」が思い描いてきた事業展開の幕開け!?

今後、分散電源が大量に入ってくれば、電気事業の構図はおのずと変わっていくでしょう。

そうなると、新電力会社「Looop」が思い描いてきた事業展開の幕開けかもしれません。

実際に、

今は、分散電源が大量に入り、電気事業の構図がガラリと変わる時に向けた準備期間。

と、「Looop」小嶋祐輔・戦略本部本部長兼電力事業本部本部長が語っています。

さらに、

今後も、太陽光発電など設備の提供と、電力小売り、そして蓄電池本体と制御の3つの要素が当社の事業を形作っていきます。

 いまの新電力事業はあくまで“つなぎ”と思っています。系統電源を取り扱い、30分値に日々触れ、需給調整市場の変化を体感する。

そして、来るべき時期に備えて、需要家との接点をつくっていくというのも、今の新電力事業の目的です。

 分散電源が大量に導入され、電気事業の構造は変わります。

Looopが設立当初から思い描いてきた事業を、いよいよ展開できる時がやってきます。

参考までに。

Looopでんき契約者の私としては、ますます応援したい気持ちになったことは間違いありません。

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【最後に】ブラックアウトの経験を今後に活かす建設的議論を!

地震によって起きた北海道全戸停電「ブラックアウト」

想定外の出来事とは言え、対処策をもってなかった北海道電力の責任は重いのでは?

現場で必死に復旧作業を進めている作業員の方には感謝しかありません。

しかし、経営陣など幹部の考えには疑問符がつくのではないでしょうか。

この状況でも、泊原発再稼働を最優先事項とするのでしょうか?

今後泊発電所の適合性審査はさらに難しいことになると考えられます。

なぜなら、安定した送電と外部電源という多重位防護の第1層に弱点を露呈したことになるからです。

今後、またいつ地震がくるかわかりません。

さらに、老朽化している火力発電所の相次ぐ緊急停止という事態もあるかもしれません。

これからむかえる厳しい冬に恐怖を感じます。

希望が持てる再発防止策を期待します。